学部長メッセージ

高橋聡 社会福祉学部 学部長

高橋 聡
社会福祉学部 学部長

 人間性、生き方、社会のあり方に関心があり、それを実践的にしかも高い学問的水準で学びたい。大学にそんな贅沢な期待を持っている方にとって「社会福祉学を岩手県立大学で学ぶ」ことは賢明な選択だと思います。
 福祉といえば「困っている人」「ケアを必要とする人」のためにあるとみなされがちですが、社会福祉は広大な「ソーシャル・ワールド」を対象にします。複雑な現代社会に生きる私たちは、直接の知り合いだけではなく世界中の人々と直接間接の関係を持ち、無意識のうちに相互依存関係にあります。一人一人の価値観も資質も環境条件も違うのに共生するプロジェクト。驚くことに私たちはある程度までそれを実現しているのですが、その先の道は急に険しくなり、最高の英知を要するものとなります。

 多様な人々はどうすれば共存できるのか?
「人は自己利益で動くもの」との見方が科学的とは限りません。進化心理学や行動経済学、比較制度分析など諸学問の進歩は、共感や協力は人間の社会的本能に起因し、決して「無理をしている」わけではないことを示しました。
 しかし現実の生活場面で実現できるかどうかは別です。自分の安全が確保され、周囲から存在を認められているときに、優しく協調的になることはそう難しくないのですが。
 2020年、世界を覆う感染症に直面する状況は「戦争」にたとえられます。生存の危機に直面すると、人権、生活の質、多様な生き方や文化などの価値は二の次になり、感性は疲弊し他者に厳しくなります。そういう状況でなお人間性と理性を実践することが、社会福祉を学んだ人間こそがなしうる貢献ではないでしょうか。

 二つの学科はそれぞれ特色ある視点から課題を扱います。社会福祉学科では、人々が直面する問題を個人や家族、職場やコミュニティ、自治体や国という複合的な水準で捉え、問題解決の方法と支援の仕組みを考え、必要な実践的スキルを学びます。人間福祉学科では、人々が抱える問題を主として個人の内面や対人関係そして生涯発達の枠組みの中に定位し、問題解決に向けた支援の方法と技術を学びます。
 次頁以降で示す通り、本学部は独自の3層構造のカリキュラムを設けています。①確かな学問的根拠で専門能力を構成する専門学士課程(学部基盤教育→教育系)。②専門職への社会的要請に応える専門職資格課程。そして①②の主専攻で培われた能力に③進路や個別の関心に応じて付加価値を与えるサブ・コースです。これらをフルに活用しつつ自分の道を発見する過程を、共に体験できることを楽しみにしています。

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