主な担当科目
地域社会学ほか
研究課題
広い意味で「個人のヴァルネラビリティへの地域社会でのケア」をテーマにしています。ヴァルネラビリティとは、「脆弱性」「弱さ」などと表現されます。
例えば、災害とヴァルネラビリティです。災害時に個人が抱えるニーズや困難は、その人が誰なのかに依存します。年齢はもちろん性別、国籍、既往歴の有無などの個人的属性はもちろんですが、「誰かの介護や育児をしている」などその人の家庭状況や就業状況も関連してきます。そのような多様なニーズや困難に備え、対応できる地域社会の在り方について、医療専門職である「保健師」さんの役割に焦点をあてて、大学院の博士後期課程では研究してきました。岩手県内の保健師さんには多数の御恩があります。
博士課程を修了後は、医学部との接点が強いセンター(=「秋田大学高齢者医療先端研究センター」)に勤務したこともあり、dementia friendly communityに関する調査研究の機会を得ました。Dementiaとはいわゆる認知症のことです。認知症は加齢に伴い(ある意味で)我々にとって不可避の状態です。平均寿命が延伸する現代の日本社会では、健康に長生きしてもいずれは誰もが認知症になりえます。災害時にも認知症の方が経験する困難やニーズには共通性があります。そのような視点から、地域での認知症の方へのケアと防災を結びつけるような研究や実践を進めていければいいと思います。認知症の「予防」ももちろん重要ではありますが、「認知症という状態を受け入れることができる社会」とはどういう社会か…などということも考えたりしています。私自身が、「専門職」の資格は何もないので、「専門職ではない」ことだけは、いつも意識して研究するようにしています。
その他、コンパッション都市という議論にも関心があります。災害にせよ超高齢社会にせよ、人との「死別」という苦しみや悲しみを我々は体験することがあります。地域での「緩和ケア」の普及のみならず、「死別体験を語りやすい」地域社会についても、少しずつ勉強をしています。
自己紹介
もともと岩手大学行動科学研究室が母校であること、東北大学での博士後期課程の時の研究においても岩手県内の皆様には大変お世話になったことから、岩手県は「第二の故郷」どころか「第一の故郷」という気持ちです。私がこれまで岩手県で得たものの恩返しをしたいと思っています。猫が好きなので岩手県内のご当地猫キャラクターにも強い関心を持っています。盛岡市の保護猫カフェをひそかに応援しています。
学歴・職歴
岩手大学人文社会科学部(行動科学研究室)卒業
岩手大学大学院人文社会科学研究科人間科学専攻(行動科学)修士課程修了
東北大学大学院文学研究科(社会学研究室)博士後期課程修了
秋田大学高齢者医療先端研究センター特任講師
福島大学行政政策学類准教授
その他、東北大学非常勤講師、宮城教育大学非常勤講師、尚絅学院大学非常勤講師など