研究科長からのメッセージ
現代社会は、人々の価値観や人の在り方が細分かつ重層化してきています。このため、生活場面の支援に、高い倫理観を有する高度専門職業人の連携・協働が必要な時代になっています。
学部段階では福祉や心理の主要なテーマを学習しますが、貧困・障害・認知・こころ・アセスメントなどカテゴリーに分けられた学習の限界を認めざるを得ません。上述したとおり、現実生活の課題の多くは細分かつ重複化しており、必要な支援の内容と時期の見極めが一層困難になっています。支援者の適切なアセスメントスキル、多職種連携を含む支援方針を判断し、決定/実行するスキル、時に、支援チームを組織化するリーダースキルが、高度専門職業人に要請されています。
この要請に応えるため、本研究科の博士前期課程(総合福祉コースと臨床心理コース)では、教育研究と現場実践との橋渡しの役割を担える人材の育成を目指しています。学部学修を基盤とした基本的理論と技法を深化させ、必要な応用力を主体的に高める学びが、高度専門職業人の活動の端緒に皆さんを導きます。
実務経験のある社会人の皆さんは現場で感じた疑問や課題の解決、あるいは純粋な学問的探求を目的に、博士前期課程の扉を開けてください。自分が求める研究領域の学修を通して、疑問や課題あるいは学問的真理を明らかにしていけるはずです。
また、修士論文の執筆は博士前期課程学修の集大成という意味だけでなく、現場に応用できる知恵とスキルがその過程に含まれています。理論と実践の有機的な関連を学問的観点から整理することが、それまでの体験を質的に向上させていることを実感できると思います。
博士前期課程での学修の先に、人の在り方の真理を追求する学問的進化の世界として、博士後期課程があります。決して楽な道程ではありませんが、本研究科の教員と伴に、人の幸福の在り方を探求するpioneerを目指しませんか。