福祉 × 普通を問いなおす
当たり前の生活とは?
その実現には何が必要か?
社会福祉学科 臨床福祉系
講師 松溪 智恵 (まつたに ちえ)
障害の有無や年齢、社会的立場を問わず「普通」の生活を送ることができる社会の実現を目指すことを「ノーマリゼーション」といい、ニィリエはその内容を、以下のように8つに分けて説明をしています。
- 1日を一定のリズムで過ごすこと
- 平日は職場や学校で、週末には自宅で休日を過ごすというような、1週間にリズムがあること
- 誕生日やクリスマスなど、季節ごとのイベントに参加できること
- 幼児期・児童期・青年期・老年期…と各ライフステージに応じた生活が送れること
- 自分で選んだり、決めたりできること
- 結婚したり、恋愛したりすること
- 平均的な経済水準を得ること
- 地域の中で暮らしていくこと
たとえば、作家の市川沙央さんは『ハンチバック』の中で障害があることによる読書のしづらさに触れています。このように、多くの人ができていることが、障害がある人にとっては必ずしもそうでない、ということは多々あり、それを上記の8つは気づかせてくれます。そのなかでも私は「平均的な経済水準」に関心があります。日本の障害基礎年金は月額約8万円と、1人で生活するには困難な額です。他方で、障害がある人が働くことにも、さまざまなハードルがあります。そのなかで、障害がある人の経済水準を「平均的」にするにはどうすればよいのか研究しています。
自分にとって当たり前の生活が、自分以外の人にとってもそうなのか、考える力と知識を一緒に養っていきましょう。