岩手県立大学 社会福祉学部 岩手県立大学 社会福祉学研究科

社会福祉学研究科

福祉 × 創造
― 教員の活動紹介 ―

福祉 × 移民

日野原 由未

移民の存在を通して
21世紀の福祉国家を考える

社会福祉学科 福祉政策系
准教授 日野原 由未(ひのはら ゆみ)

 私の研究の主軸は、移民の存在を通して福祉国家の変容をとらえることです。福祉国家は、所得保障と社会サービスを提供する制度の整備によって、第二次世界大戦後のおよそ30年の間に、おもにヨーロッパ各国で確立しました。なかでも私は、「ゆりかごから墓場まで」のスローガンで知られるイギリスの福祉国家を研究しています。

 イギリスの福祉国家化は、旧植民地出身者のイギリスへの大規模な国際移動とともに進められ、彼らは労働力としてイギリスの福祉国家化に貢献しました。イギリス福祉国家は、現在も旧植民地やEU加盟国からの移民など、多くの外国人材が支えていますが、福祉国家における移民の役割は多様化しています。たとえば、移民自身が福祉専門職として難民支援にあたるケースなども見られます。一方で、福祉国家財政が逼迫するなかでは、受給者としての移民の存在をめぐっても、福祉国家のあり方が問われています。

 福祉国家はいま、多様な人びとを包摂する仕組みであることを期待されています。こうした福祉国家の姿をとらえるうえでも、移民の存在は多くの示唆を与えています。移民の存在を通して、21世紀型の福祉国家の可能性を考えてみませんか。

福祉 × 移民