福祉 × 自己決定学習
Nobody’s perfect
完璧な親なんていない
―親の主体的学びを支える子ども家庭福祉
社会福祉学科 臨床福祉系
教授 櫻 幸恵 (さくら ゆきえ)
私の専門領域は子ども家庭福祉・教育福祉です。ここでは、グループワークによる親の自己決定学習を支援する「Nobody’s Perfectプログラム」を紹介します。国連「子どもの権利条約」が謳う「権利主体としての子ども」の健やかな成長発達は大人の責任、なかでも親は生涯に渡り子どもに影響を与える存在です。しかし、親の背景(成育歴や生活困窮等の環境要因)によって親自身が親になる準備ができていない場合、最悪、児童虐待につながる恐れもあります。親の学びはプロセスワーク、親は自ら学び変容していける。「Nobody’s Perfectプログラム」では、ファシリテーターの進行で、乳幼児を育てる親同士が少人数のグループワーク(体験学習)を通して孤立から解放され、自律的に学び、自分なりの子育てを獲得します。親の自己決定学習による子どもの生育環境の整備は、親と子ども双方のwell-beingに貢献する、子ども家庭福祉と教育福祉(Edu-care)がクロスした新しい支援の一つです。事後的な支援のみでは人は救えない。未来志向で当事者の主体的学びと変容を支える予防的な福祉は、当事者の現在そして未来の可能性を拓きます。