福祉 × 子どもと家庭
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子どもネグレクトへの理解と対応
人間福祉学科 生涯発達支援系
教授 三上 邦彦(みかみ くにひこ)
私の研究領域は子ども家庭福祉の分野になります。これまで、国内外の子ども虐待の実践にかかわる研究をおこなってきました。特に子どものネグレクトに関心があり、アセスメントツールの開発やネグレクトの理解と対応について、福祉現場の方々との交流を通しながら、子どもと家庭へのアプローチを模索してきました。ここでは、子どもネグレクトについてお伝えします。
子どもネグレクトは、日々子どもの生活に直接影響を与えるため、心身発達、安全、健康が十分に保障されず、場合によっては命の危険すら生じる可能性があります。さらに子どもが大人になった時に世代間の連鎖も生じさせることになりかねません。しかし、まだまだ子どもネグレクトへの対応や支援について十分な取り組みができているとは言えない現状があります。
ネグレクト状況にある子どもや家庭への支援を行っていく上で、ネグレクトから生じる子どもと家庭の複合的ニーズや生活課題に対して、バラバラにサービスが行われるのではなく、包括的で、専門的なサービスを提供する観点が必要です。
ネグレクトケースへ効果的な支援を展開させるためには、アセスメントが重要ですが、対象となる子どものネグレクトのリスクと安全性、ネグレクト状態の軽減方法、支援のスムーズな進展の仕方に繋がる情報も収集することが大事になります。そして、子どもに関わる支援機関相互で共同の支援計画と実行が必要です。その意味では、地域社会のソーシャル・サポート・ネットワークづくりが鍵になるのではないでしょうか。
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