岩手県立大学 社会福祉学部 岩手県立大学 社会福祉学研究科

社会福祉学研究科

福祉 × 創造
― 教員の活動紹介 ―

福祉 × 弱さへの共感

人間福祉学科 生涯発達支援系 准教授 泉 啓(いずみ ひらく)

弱さを安心して語れる場をつくる

人間福祉学科 生涯発達支援系
准教授 泉 啓(いずみ ひらく)

 スマホ依存、ギャンブル依存、医薬品のオーバードーズ(過剰摂取)など、いろいろな依存に関する話を最近は耳にしますね。もう二度と繰り返さないと強がりつつ、そんな行動をしてしまって自己嫌悪に陥る。そんなループが依存症の人(誰しもですが)にはあります。どうやってこのループから抜け出せるのか?私は自助グループ(セルフヘルプグループ)と呼ばれる当事者同士が集う会を色々とめぐったり、研究したりするなかで、この問題を考えてきました。

 アルコール依存症の当事者が集う世界的な自助グルーブ「アルコホーリクス・アノニマス(通称AA)」には12ステップの回復プログラムというものがあります。その第1ステップは依存症の人が自分の弱さや無力さを受け入れるというものです。弱みを見せづらい今の世の中で、これは大変な作業といえます。でも、安心して弱さを見せられ、語り合える自助グループのような場って、社会的にもとても大事な空間であると私は思っています。

 最近、依存症研究は先端科学化していて、脳科学の研究や渇望感を減少させる薬の開発・使用なども進んでいます。これはこれで興味深い動向ではありますが、人は人によってこそ癒されるはず。安心して弱くいられる場について一緒に考えたり、つくったりしませんか?

福祉×弱さへの共感