福祉 × 関係性の質

関係性の質を考えることを通して、ソーシャルワークの価値を追究する
社会福祉学科 臨床福祉系
講師 小畑 美穂(おばた みほ)
私は、長らく医療ソーシャルワーカーとして働いていました。傷病を契機に新たな困難や生きづらさを抱える、あるいは潜在化していた暮らしの困窮や社会的課題が顕在化する、保健医療の現場は、非常にシビアです。
しかし、患者さんやご家族を中心に、医師や看護師、心理、リハスタッフなどの専門職、また地域のケアマネや様々な人々、機関とともにチームとして、困難に向き合う日々は、苦しくも豊かな時間でした。なぜなら、絶望や苦悩だけでなく、希望や可能性がそこここに存在することを教えてもらえる場だったからです。その希望や可能性は、クライアントと呼ばれる患者(家族)さんにつながる人や物事、つまり社会関係に拡がっています。またクライアントにつながる関係性の中にクライアントの「思い」として埋まっています。

ソーシャルワーカーは、対話を通してその関係性を丁寧にひも解き、今だけでなく過去、未来をも見据え、関係性全体からクライアントを深く理解しようとします。もし、クライアントが人や物事の社会関係から疎外、周縁化されているのであれば、クライアントの望む暮らしの実現にむけて、クライアントとともに新たな関係性を想像し、創造しようと社会へ働きかけます。ゆえにソーシャルワーカーは関係性の専門職とも言われます。そんなソーシャルワーカーは、ソーシャルワークの信念・哲学的思想としての価値を大切にします。
人はそもそも関係性の中で生きている存在ですが、関係性が意味することは何なのか、その「なかみ」つまり質について言語化することは、とても難しいです。また、保健医療のチーム実践は、地域の様々な人々との関係性を通じて展開される連携・協働が必須です。とはいえ、この連携・協働がスムーズに進まないことも少なくないです。 関係性とは、保健医療の現場にソーシャルワーカーが存在する意義とは、ソーシャルワークが大切にする価値とは、どういうことなのか。人と人、人と社会の関係性の質を探求し、ソーシャルワークの価値を追究し続けています。
