福祉 × おせっかい

地域での転ばぬ先の杖としてのおせっかい
社会福祉学科 福祉政策系
准教授 板倉 有紀(いたくら ゆき)
私は、学生時代は地域防災をテーマに大学院で勉強していました。そろそろ博士論文を出してもらわないと!!!と、その当時の指導教員の先生からおしりをたたかれていた時期に、東日本大震災が発生しました(指導教員の先生は2人いらっしゃいましたが、どちらも素晴らしいコーチのような先生でした)。「事前に災害時要援護者として位置づけられていなかった人」であっても、実に多様なニーズや被害を経験するのだなということを痛感しました。そうした中で、災害前から地域を良く知る専門職の方々が、実にきめ細やかな支援活動をなさっていることを知りました。そのような方々は、災害前から地域社会で「おせっかい」を展開している人達でした。おせっかいというとマイナスの意味に聞こえるかもしれません。ただ、その「大変そうな人」がいざ福祉の対象になるまでには、タイムラグがあります。私の研究は、どちらかというと、福祉や配慮の対象になる「前の」段階で、「おせっかい」が成立する地域的基盤に関心が向いています。「予防的な介入」といってもいいかもしれません。「災害に強い地域社会」だけでなくて、例えば、「認知症にやさしい地域づくり」などの他のテーマでもそうです。「オオゴトになる前のおせっかい」を「上手に」していける地域社会について、実際に活動をしていらっしゃる方々の実践から考えていければと思います。このように、私の専門とする「社会学」は一歩引いたところから物事を見るというずるいスタンスです。社会学は、「専門家」になり切れない人のためにあるような気もしています。

