福祉 × 「生きる」の連続性

いま、あらためて支援の原点を考える
社会福祉学科 福祉政策系
准教授 米澤 克徳(まいさわかつのり)
これまで、行政の領域で支援の実践に携わってきましたが、一人ひとりの生きる営みは制度の枠組みでは捉えきれない広がりを持っています。家族や地域の歴史、生まれてからの経験、今この瞬間、そして未来へと続くつながりの中で、「生きる」は連続しながら形づくられています。
逆境的体験や喪失、大きな環境の変化は、時間・空間や関係性の連なりにゆがみや切断をもたらします。そこに生じる困難は、心身や生活上の問題にとどまらず、そのひとのあり方そのもの、すなわち「生きる」の揺らぎとしても現れます。ソーシャルワークはそのような困難に関わり、その揺らぎに向き合います。しかし、その実践として行われる介入や保護は安心や安全を確保する一方で、そのひとの連続性を断つという両義性を抱えています。また、支援者自身も関わりの中で揺らぎや痛みを抱える存在でもあります。
東日本大震災津波での支援、「あいまいな喪失」の概念やストレス対処の多重モデルである「BASIC-Ph」との出会いから、ひとは断絶の中でも新たな意味やつながりを見いだし、自らの歩みを編み直していける存在であると学びました。それは元に戻るということではなく、変化や喪失を抱えながら生き続けていくということです。その場面に関わる私たちは、エビデンスやマニュアルを踏まえながらも、それらに依拠するあまり、一人ひとりのあり方や意味が見えにくくなりがちです。だからこそ、一人ひとりの「生きる」を支える福祉行政は、そこに関わるすべてのひとの存在とその主観性に思いを向けながら、ともに在り続けることが求められていると感じています。
