岩手県立大学 社会福祉学部 岩手県立大学 社会福祉学研究科

社会福祉学研究科

福祉 × 創造
― 教員の活動紹介 ―

  1. Home
  2. /
  3. 福祉 × 創造 – 教員の活動紹介 –
  4. /
  5. 福祉 × 異なる他者との共生とソーシャルワーク

福祉 × 異なる他者との共生とソーシャルワーク

異なる他者との共生とソーシャルワーク。いろんな人がいるその街で、私たちは、誰と、どんなふうに、付き合っていくのか?

社会福祉学科 臨床福祉系
講師 三品 竜浩(みしな たつひろ)

 私は精神保健福祉士として、主に精神医療と福祉の領域で働いてきました。例えば、精神障害が背景となり事件を起こしてしまった人を、精神医療とソーシャルワークの力で支え、社会復帰を進める「社会復帰調整官」という仕事があります。心の病気や障害のために人を傷つけてしまった人の多くは、発達障害による感覚の過敏さや人との交流の苦手さを抱え、その場に合わない言動から不適応やいじめといった排除を経験してきました。加えて、貧困や虐待などACES体験(逆境的小児期体験) を背負っている場合も少なくありません。
 こうした人々へのケアが乏しい社会では、支援が途切れると再び孤立や事件につながりかねません。だからこそ、ソーシャルワーカーは他の専門職と連携し、排除されてきた人々を包摂するサポートを重ね、自己実現へとつなげる役割を担います。これは本来の福祉の担うべき役割であり、制度が届き難い人々への必要な支援だと思っています。メンタルヘルスの問題は今後もさらに増えていきます。もし関心があれば、ソーシャルワーカーとして、メンタルヘルスのサポートについて、知って頂ければと思います。

【注】ACES(逆境的小児期体験)とは、子ども時代に虐待やネグレクト、家庭の問題などのつらい出来事を経験することで、その数が多いほど将来の心身の健康や人間関係に悪影響が出やすいが、信頼できる大人や安心できる環境があれば回復する力を育むことができるという考え方を指します。

書籍類